こんばんはー。今日は典型的な春の嵐みたいな一日でした。あったかいけど、風が
強くて、自転車乗ってたら煽られる、煽られる^^;す、進まねーーっ!って
感じでした(笑)。でも明日からはまた寒の戻りらしいので、体調管理に気をつけなければ
いけませんね。


読了本は二冊です。

藤崎翔「お隣さんが殺し屋さん」(角川文庫)
元お笑い芸人の小説家、藤崎さんの文庫新刊。ちょっとほのぼのしてそうな
タイトルだったので気になって借りてみました。
地方から上京して専門学校に入学することになった美菜は、2階建てアパートに
引っ越して来た。引っ越してすぐ、美菜が隣人に挨拶に行くと、住人の雄也は、
長身で美声の、少し影のある青年で、好みのタイプだった。美菜は雄也と仲良く
なろうと何かと接触を試みるが、雄也にはある秘密があって――。
終盤に行き着くまでの展開がだらだらと長くて、読むのにかなり時間がかかって
しまいました。内容は軽いし、基本はユーモアミステリなんですが。この内容
だったら、もっとコンパクトに読ませて欲しかったかなぁ。前に読んだ何作かは
もっと読みやすい印象だった気がするんだけどな。
ただ、終盤のどんでん返しには誰もが目が点になるんじゃないでしょうか。
いや、いくつも引っかかる伏線はあったんですけどね。その人物、何かあるぞ
何かあるぞ、とは思ってたんで。しかし、こういう反転だとは全く思ってなかった
んで、かなり面食らわされました。読んだほとんどの人が『そっちかー!』と
叫びたくなるんじゃないかな(私もそうだったw)。非情に緻密な仕掛けになっている
とは思うんですが、ただ、複雑過ぎて、状況説明が分かりづらかったのが少し残念。
説明もだらだらと長くて、せっかくのどんでん返しの衝撃が薄れてしまったような。
いろいろとツッコミどころは満載なんですが、騙されたことは間違いない訳で。
やっぱり、この作者さん、タダモノではないな、と思わされたのでした。
タイトルが巧いですね。ここですでに仕掛けられているってところがね。
文章等はもうちょい上達の余地がありそうです。


薬丸岳「刑事の怒り」(講談社)
夏目刑事シリーズ第四弾。薬丸さんの作品でこんなにシリーズ作品が出るのって
珍しいですよね。よっぽど夏目刑事のことが気に入っているのかな。まぁ、ずっと
雑誌で連載しているからなのかもしれないですけど。
四作の中短編が収録されています。どれも夏目刑事の事件に対する真摯な取り組み方と、
人情味溢れる結末に心を打たれました。夏目刑事は、娘の絵美ちゃんの事件を経験し、
自身が心に深い傷を負っているからこそ、他人の痛みに気付くことが出来たり、隠された
深層心理に切り込むことが出来るのかな、と感じます。絵美ちゃんの回復が進まなくても、
常に希望を持って接する夏目夫妻には頭が下がるばかりでした。奥さんの献身的な介護
もすごいと思う。いつか、二人の献身が報われる日が来るといいな、と願います。

では、各作品の感想を。

『黄昏』
母親の遺体をスーツケースに入れて自宅に隠していた、と娘が警察に出頭して来た。八十を
超える母親の遺体は、死後数年が経っていた。年金目当てかと思われたが、支払い続けられて
いた年金は一切手をつけられていなかった。娘はなぜ何年間も遺体を隠し、今になって自首して
来たのか――。夏目刑事、東池袋署最後の事件。
母一人子一人で暮らして来た母娘に起きた事件。真相はただやるせない。親離れ出来ない
娘には嫌悪感も覚えたものの、遺体を隠し続けて来た理由には、ある人物を想う彼女の優しさも
感じられました。
母親が詠み続けて来た俳句に切ない気持ちになりました。どんな時でも、母親は子供を第一に
考えているものなんですね・・・。日本推理作家協会賞受賞作というのも頷けました。

『生贄』
公園の男子トイレで男の刺殺死体が発見された。東池袋署から錦糸署に異動したばかりの
夏目は、一曲ありそうな本上という女刑事と組んで捜査に当たることに。死体には性交の
痕跡があり、被害者は殺される直前にレンタルDVD店でDVDを借りていた。被害者の足取りを
追う夏目と本上だったが――。
性犯罪関連の事件は、女性としては読むのがとても辛い。この手の犯罪は、本当に、人としても
女性としても受け入れ難いです。ただ、犯人の動機に共感は出来るけれど、やっぱり、
人を殺してメッセージを訴えるというのはやり方が違うと思わざるを得ない。最後まで
誰も幸せになれないし、救いのない事件だな、と暗澹たる気持ちになりました。

『異邦人』
警察通訳人の登録をしているベトナム人のクエットは、警察からベトナム人が起こした
事件の通訳の依頼を受けた。被疑者のベトナム人の女は、墨田区にある女性の自宅に
侵入し、部屋の中を荒らし、その後帰宅した同居人の娘に危害を加えて逃げ出したという。
しかし、被疑者が被害者宅に侵入したのには、ある理由があった――。
ベトナム人のクエットのバイト先での扱いにはただただ腹が立ちました。でも、私も
外国人ってだけで全くバイアスがかからずに接することが出来るかと言われると、
戸惑ってしまうと思う。多分、日本で働く外国人たちは、多かれ少なかれ、
彼らのような偏見で見られてしまっているのでしょうね・・・。被疑者のオックが、
被害社宅に侵入した理由に心を打たれました。日本人よりもずっと心が清らかで優しい
外国人もたくさんいる。夏目さんが見抜いてくれてよかったです。気になったのは、
バイトを理不尽な理由でクビにされてしまったクエットが、次の仕事を見つけられたのか。
次は良い職場で働けるといいな、と思いました。

『刑事の怒り』
在宅で介護を受けていた十六歳の少年が亡くなった。介護していた母親が外出している間に、
人工呼吸器のチューブが外れて呼吸困難に陥ったのが死因だという。しかし、母親が故意に
チューブを外した疑いが出て来た。夏目と本上が調べを進めると、被害者が在宅介護になる前に
入院していた病院で、同じような事故が起きていたことがわかり――。
犯人のしたことは、ただただ身勝手で卑劣な犯罪でしかなく、夏目さん同様怒りしか覚え
なかったです。絵美ちゃんのことがあるから、余計に夏目さんは許せなかったと思います。
ただ、茉優の亡くなった彼氏の事件の方は、彼氏の方にも問題があったとは思う。彼氏の事故が
起きず、あのまま茉優と結婚していたら、彼女は幸せになれたんだろうか。正直、この男と結婚して、
幸せになれたとは思えなかったです。まぁ、だからといって、犯人のしたことを容認することは
到底出来ませんが。私自身も、夏目さんと一緒で、どんな姿になったとしても、大事な人に生きて
いて欲しいと思うような気がします。まぁ、そういう立場になってみたら、また違うのかも
しれませんけれど。